厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成29年(2017)1年間の死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万9,880人で全体の8.2%を占め、全死因の上位から3番目という結果になりました。

 内訳をみると、「脳梗塞」が最も多く6万2,122人(男性2万9,494人、女性3万2,628人)です。脳梗塞以外では、「脳内出血」が3万2,654人、「くも膜下出血」が1万2,307人、「その他の脳血管疾患」が2,797人でした。

 ACLSコースでは、ACSと同じく急性期脳卒中についても取り上げており、そのうち最もおおい脳梗塞について特定と管理について述べている

脳卒中の救命の連鎖

救命の連鎖とは、急変した傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行いのことで、構成する4つの輪がすばやくつながることで救命効果が高まるといる。

脳卒中の救命の連鎖
● 脳卒中の警告徴候の迅速な発見と対応
● EMSの迅速な出動
● EMSシステムによる迅速な搬送と、受け入れ病院への到着前通知
● 病院での迅速な診断および治療

脳卒中の多くは自宅で発症している。病院への搬送に、救急車を使用することを躊躇したり、脳卒中患者が症状を否定したり理屈付けたりすることが見られたりする。脳卒中の治療目標は、脳損傷を最小限に抑え、患者を最大限に回復させる事である。回復を最大限にするために、患者・家族・がとるべき行動が連鎖されている

目次

脳卒中とは

総括的な言葉であり、脳の特定の領域に対する血液供給中断のために発生する。急性の神経学的障害を指す。脳卒中には主に以下の種類がある

虚血性脳卒中
すべての脳卒中の87%をしめ、通常は脳の特定の領域に血液を供給する動脈の閉塞が原因で発症する
出血性脳卒中
すべての脳卒中の13%をしめ、脳の血管が突然破裂して周囲の組織に血液が流れ込む事で発症する。

一過性脳虚血発作

一過性脳虚血発作は、急性梗塞なしの局所脳虚血、脊髄虚血、網膜虚血を原因とする神経機能障害の一過性症状である。神経症状が生じても、多くは数分、遅くとも24時間以内に完全に消失をみる

脳梗塞について

脳梗塞とは、脳動脈の狭窄あるいは閉塞によって脳組織が壊死する疾患である
脳血管の閉塞によって脳血流が低下すると、その核部分の脳細胞は壊死する。この部分は不可逆的であるが、この周囲には虚血状態であるもののまだ壊死していない可逆的な部分がある。ただし、可逆的な部分も、発症後から次第に、壊死した脳細胞から発生する有害物質の影響で不可逆的な状態となる

主な危険因子は、高血圧、糖尿病、心房細動、喫煙、肥満である

臨床病型による分類

ラクナ梗塞:長期間の高血圧による血管壁の肥厚で穿通枝が閉塞して脳梗塞を起こす
アテローム血栓性脳梗塞:脳の主幹動脈のアテローム硬化で狭窄した部分のプラーク破綻や血栓形成によって脳梗塞を起こす
心原性脳塞栓:心臓内や頸動脈に形成された血栓が遊離して脳の主幹動脈を閉塞して脳梗塞を起こす

症状

脳卒中の自他覚症状は分かりにくいことがある。
● 特に一側性の顔面、腕、足の脱力や無感覚が突然現れる
● 突然の意識混濁
● 話すことや理解することが困難
● 片眼または両眼の突然的な視覚障害
● 突然の歩行困難
● めまいや平衡感覚障害、協調運動障害
● 原因不明の重度な頭痛が突然認められる

脳卒中スクリーン

脳卒中スクリーンとして、“Cincinnnnati プレホスピタル脳卒中スケール(CPSS)”

3つの身体所見を基に脳卒中を特定する

  • 顔面下垂(笑ったり、歯を見せたりするよう患者に指示する)
  • 上司の脱力(目を閉じ、両手を前に出すように患者に指示する)
  • 言語障害(患者に次のように言わせる「瑠璃も玻璃も照らせば光る」など)

救急部による初期評価と安定化

  • ABCDの評価:ABCDを評価し、ベースラインのバイタルサインを評価
  • 酸素の供給:酸素飽和度や低酸素状態である場合は、酸素を投与する
  • 静脈路の確保および採血:静脈路を確保した上で、採血(血球数の特定、凝固系の検査、血糖値の測定)を行う。ただし、このために脳のCT検査が遅れることがあってはならない
  • 血糖値のチェック:低血糖症を速やかに治療する
  • 神経学的スクリーニング評価を実施:NIH脳卒中スケールまたはカナダ神経学的スケール
  • 脳卒中チームの出動要請
  • 脳のCT検査の指示:脳の緊急CT検査を指示し、直ちに放射線専門医による解読を依頼する
  • 12誘導心電図:塞栓性脳卒中の原因として、AMIや不整脈(心房細動など)を特定できる

CT検査で得られる結果

脳卒中で疑われる患者で緊急に実施したCT検査またはMRI検査は、直ちに専門家による判読をうける必要がある。出血の有無によって、治療の次段階で実施する手順と、患者が“血栓溶解療法”適応であるかどうかが決まる

出血がない場合:CT検査で出血のエビデンスが見出されなかった場合、“血栓溶解療法”適応であ
        る可能性がある
出血がある場合:CT検査で出血が確認された場合、患者は“血栓溶解療法”の適応ではない。
        脳神経外科に相談する

治療

虚血性脳卒中の患者は、発症から4.5時間以内にrt-PA投与を行うために、1時間以内に治療開始ができる診療体制を作っておく

救急到着して

10分間・・・即時の全般的評価
25分間・・・即時の神経学的評価
25分間・・・頭部CT検査の実施
45分間・・・CT検査の判読
60分間・・・ED到着から血栓溶解療法開始まで

rt-PA静注療法開始までの流れ