昨今、心肺蘇生法講習会では「人工呼吸はしなくてもよい」という趣旨のことが言われることが増えてきています。人工呼吸を省略してもよい心肺蘇生法については、「胸骨圧迫だけの心肺蘇生法を知ってますか?」という記事に掲載しています

人工呼吸の重要性

なぜ、人工呼吸が重要なのかというと、【体の組織細胞に酸素を届けること】です。
生体が酸素呼吸、すなわち細胞で酸素を取り込んでエネルギー産生を行い、二酸化炭素を排泄する一連の生化学反応を行っています。

そのため、酸素がなければ、生命を維持することができません

突発性の心室細動(心臓突然死)であれば、倒れる直前までは普通に呼吸ができていますので、血液中に酸素が残っています。そこで胸骨圧迫を行えば、溶け込んでいた酸素で数分間であれば人工呼吸がなくても大丈夫と言えます

しかし、溺水や窒息で心停止に陥った場合を考えてみてください
息ができなくなり、血液中の酸素を使い果たした結果、心停止になったわけですから、いくら胸骨圧迫で血流を生み出しても、そこに酸素が残っていなければ心肺蘇生をしたところで組織細胞に酸素を送ることができません。

また、仮に突発的な心停止であったとしても、発見が遅かった場合や、10分、20分と長く胸骨圧迫を続けている場合は、血液中の酸素が枯渇している可能性が大です。となれば、当然、酸素を体内に取り込む動作、つまり人工呼吸が必要になってくるのは、理解頂けると思います。

小児・乳児には人工呼吸は大事

小児・乳児に多い心停止の原因は呼吸のトラブルです。これは覚えておいてください

小児・乳児に呼吸のトラブルが多いのは、未発達な呼吸器官に起因しています。心臓に比べて成長が遅い呼吸器官が成長しきって完成すれば、小児・乳児特有の呼吸トラブルは減ります。

そのため、小児・乳児では人工呼吸は必要となります。

まとめ

  • 成人は突然性の心停止であれば、胸骨圧迫のみ(ハンズオンリーCPR)で対応ができる。だが時間が立つことにより体内の酸素は減っていく。救助までの時間がかかりそうであれば、人工呼吸は必須となる
  • 小児・乳児は、呼吸のトラブルで心停止を起こすことが多いので、胸骨圧迫と人工呼吸の蘇生法が推奨される