パルスオキシメータで
「動脈血液中のヘモグロビンが酸素とどれくらい結合しているか」を測定することの意義がどこにあるのかということを今回は記載いたします。

人間は空気を吸うことで酸素を肺内に取り込まれ、気管を通り肺に入った酸素は血液(動脈血)に取り込まれて、心臓からの血流によって全身の組織に送り届けられます。全身の組織は、酸素を消費してエネルギーを得るとともに二酸化炭素を生み出して肺から吐き出します。

このプロセスのどこかに不具合が生じると、全身の組織に酸素が供給されなくなってしまいます。

酸素が体内の各組織に届くまでのプロセス

  1. 上気道・下気道
  2. 肺胞から血管
  3. 血液運搬
  4. 血管から組織
  5. 細胞内

という、5つに分けられます。
この5つのプロセスのどこに異常を来たしても、生体は酸素不足に陥り、正常な機能を発揮できなくなります。

酸素運搬プロセスと組織への酸素供給障害

1、上気道・下気道では、肺の中へ届く量が少ない理由が上がります。原因としては、気道閉塞や狭窄、吸入気酸素の濃度低下(高地、室内の換気不足)などがあります。

2、肺胞から血液は、移行障害でおきます。原因としては、肺水腫や重度の肺炎、肺気腫などの疾患です。

3、血液運搬では、運搬の障害でおきます。原因としては、高度貧血、ヘモグロビンの異常です。

4、血管から組織では、組織への到達不足でおきます。原因としては、血液を送り出す心臓の機能低下、動脈硬化などによる血液不良があります。

5、細胞内では、何らかの原因で、細胞内(ミトコンドリア)で酸素を利用できない状態で、原因としてはシアン中毒があります。

 パルスオキシメータで表示されるSpO2は「動脈血中のヘモグロビンと酸素の結合度」であり、3の血液の運搬プロセスを示しています。

酸素飽和度が低下している原因

・上気道、下気道で十分に酸素が取り込まれていない(窒息、気管支炎、アナフィラキシー等
肺胞から血液に十分に酸素が移行していない(COPDやARDSなどの低酸素性低酸素症
・肺胞から血液に十分な量の酸素が移行しても、貧血で酸素を運ぶヘモグロビンが不足すれば、組織に十分な酸素を供給できなくなります(貧血性低酸素症)あるいはショック時のように血流が低下したり、動脈硬化などによって血管が狭窄したりすれば、必要に応じた血流を保つことができないため、酸素が組織に運ばれない(低灌流性低酸素症)や、薬物中毒などによって、酸素が細胞までに運ばれたにもかかわらず、有効に活用できない状態(組織障害性低酸素症

まとめ

酸素は体内で生命を維持する上で不可欠なものであり、血中の酸素の充足状況を把握することは、重要な観察ポイントです。しかし、パルスオキシメータでヘモグロビンと酸素がどれくらい結合しているかは重要ではないことが理解できたと思います。パルスオキシメータは組織に酸素が取り込まれるプロセスの一部に過ぎないので、パルスオキシメータでの値だけではなく、全身の観察が必要です。